昔、ある村に一人のびんぼうな若者が住んでいました。
いつもまじめに働いていましたが、生活は全然楽にはなりませんでした。
ある日、いつもと同じように、山へ木を取りに行きました。
家に帰る途中で、野原の雪の中につるがたおれているのを見つけました。
つるは、羽にけがをして、苦しそうに鳴いていました。
若者は、けがをしたところを川の水で洗ったり、薬をつけたりして、助けてやりました。
元気になったつるは、何度もおじぎをして、空へとび上がりました。
そして、若者の頭の上をゆっくり回ってから、山の向こうへとんで行きました。
从前,有一个村子里住着一位贫穷的年轻人。
一直勤劳地工作着,日子却过得很辛苦。
有一天,他和平时一样,去山里砍柴。
在回家的路上,看到了一只倒在雪地里的仙鹤。
仙鹤的翅膀受伤了,痛苦地哀叫着。
年轻人用河水给它清洗伤口,上了药,救了它一命。
仙鹤恢复体力之后,向年轻人鞠了好几次躬,然后飞上了天空。
然后,在年轻人的头上慢慢盘旋以后,飞向了山的另一边。
それから二、三日たった、雪の降る夜、若者が家の中で仕事をしている時、戸をたたく音が聞こえました。
在那之后,过了2,3天,一个下雪的夜里,年轻人正在家里工作的时候,听到了敲门的声音。
「こんなに夜おそく、だれだろう。」
そう思いながら、若者は戸を開けてみました。
そこには一人の美しい娘が立っていました。
「私は、しんるいの家へ行くところですが、途中で、道にまよってしまいました。すみませんが、ちょっと休ませてくださいませんか。」
“这么晚了,是谁呢?”
年轻人想着,打开了门。
门口站着一个美丽的姑娘。
“我要去亲戚家,可是在中途迷路了。对不起,能让我休息一会儿吗?”
「それは大変でしたね。どうぞ中に入って、休んで行ってください。寒かったでしょう。さあ、火のそばへ来て、あたたかい物を食べてください。」
“真可怜哪。进来休息休息再走。很冷吧。来,到有火的地方吧。吃点儿热乎的东西吧。”
その夜、親切な若者はその娘をとめてあげました。
つぎの日、朝早くから娘は、食事の用意をしたり、そうじをしたりして、いっしょうけんめいに家の中の用事をしました。
その日から娘はずっと若者の家にいるようになりました。
那天晚上,善良的年轻人让姑娘住了下来。
第二天,姑娘很早起来就开始做饭和打扫等等,勤快地干起了家务活。
那天以后,姑娘就一直住在了年轻人的家里。
ある日、娘は若者に言いました。
一天,姑娘对年轻说,
「私はこれから特別の糸で布を作ります。その布ができたら、町へ売りに行ってください。町の人々は、めずらしがって、高く買ってくれるはずです。でも、私が仕事をしている時は、部屋の中を見ないでください。」
“我从现在起要用特别的线织布。织完后,拿到城里去卖吧。城里的人会觉得很稀奇,卖价也会很高。不过,我织布的时候,你不能看。”
娘は、部屋に入ったまま、ずっと中で仕事をしていました。
そして、一週間後に、美しい布を持って、出て来ました。
若者は、その布を町へ持って行って、売りました。
人々は、「見たことも聞いたこともないめずらしい布だ。こういうすばらしい布なら、高くても買いたい。」と言って、高いねだんで買いました。
姑娘进房间以后,一直在工作,没有出来。
一周以后,姑娘拿着美丽的布出来了。
年轻人把那些布拿到城里卖了。
人们都说,“真是从未见过和听过这么珍奇的布啊。这么好的布,再贵也要买。”用很贵的价钱买走了。
若者がお金をたくさん持って、喜んで帰って来たので、娘もうれしそうな顔をしました。
その日から若者は、お金がもっと欲しくなり、娘を働かせるようになりました。
娘は、だんだん顔色がわるくなり、やせてきましたが、若者の喜ぶ顔が見たくて、布を作り続けました。
年轻人拿着很多钱,高兴地回来了,看到这些,姑娘也很高兴。
从那天起,年轻人开始想要更多的钱,于是他让姑娘不断地织布。
姑娘的脸色越来越不好,瘦了很多。可是她很想看到年轻人快乐的表情,所以继续坚持着。
ある日、若者は娘の部屋の中を見たくなりました。
有一天,年轻人很想看看姑娘的房间。
「どうして、あんな美しい布ができるのだろう。ちょっとだけなら、見てもかまわないだろう。」と思って、娘の働いている部屋へ行ってみました。
若者は中を見て、びっくりしてしまいました。
部屋の中では、やせたつるが自分の羽を一本一本取り、それで布を作っていたのです。
“为什么能织出那么美丽的布呢?就看一眼没事吧。”想着想着,他来到了姑娘织布的房间。
年轻人看完里面后,大吃一惊。
房间里,一只很瘦的仙鹤一根一根地拔下自己的羽毛,正用它织着布。
若者に見られたのを知った娘は、部屋から出て来て、静かに言いました。
姑娘知道年轻人看了自己织布的情况后,从屋子里走了出来,平静地说道:
「あなたは、私の部屋の中を見ないと約束したのに、見てしまいましたね。私は前に助けていただいたつるなのです。あなたのために、働こうと思って、この家に来ました。でも、あなたが約束を守らなかったので、もういっしょにいることができません。」
娘は、泣きながら、外へ出て行きました。
“我和你约定好了,不要看我的房间,可是你还是看了。我是你以前救过的那只仙鹤。想要为你做点儿事才来你家的。不过,由于你不守诺言,我已经不能在待在这里了。”
姑娘哭着,来到了外面。
「わたしがわるかった。ゆるしてくれ。わたしのそばにいてくれ。」
“是我不好,请原谅我吧。留在我的身边吧。”
若者が娘を追いかけて外へ出た時、鳥の鳴く声がしました。
外にはもう娘はいませんでした。
夕方の空を白いつるがとんでいるのが見えました。
つるは、悲しそうに高い声で鳴きながら、夕やけの赤い雲の中に消えて行ってしまいました。
年轻人追着仙鹤跑到了外面,听到了鸟的叫声。
外面已经没有了姑娘的身影。
他看见,傍晚朦胧的天空中,一只白色的仙鹤正飞向远方。
仙鹤大声地悲鸣着,消失在了被夕阳映红了的云朵之中。