17-1. 分ける・押さえる (手の機能 )

本文を読む前に、みんなで話し合おう。
1. あなたは、どちらの手で字を書きますか。
2. 字を書く方の手は、字を書くほかに、どんなことをしますか。
3. もう一方の手は、どんなことをしますか。
4. 手の働きと の関係はどうなっていると思いますか。 
5. 将来、人間の手の機能 は、どうなっていくと思いますか。

    sound text sound text  日本語には「分別 ができる」という表現がある。 sound text この分別 はどのようにしてでき上がる のだろうか。 sound text それは、直立 して自由に使えるようになった二本の手によってである。 sound text 言葉による思考推論 が発達する以前に 、子供は既に手によって分別 ができる。 sound text 人間の手は、 よりも一足先に 分別 し、考えるのである。
    sound text sound text  立って歩き始めた子供は、身の回りあらゆる 物に興味を持ち 、手で触れて回る sound text 平らな 物、でこぼこ のある物、砕ける 物、ちぎれる 物、音を立てる 物、無言 の物、ぬれている 物、乾いている 物、触ると快い 物、不快な 物。 sound text こうして 子供の手は、触覚 によって物の性質を知り、微妙な 差異分別 する。 sound text 赤ん坊の段階 では自分と物とは区別 されなかった。 sound text 即ち、物を分けることがなかったから、分かることもなかった。 sound text 分かるとは分けることなのだ。
    sound text sound text  手で分けること、ここには既に植物学解剖学 などの根源 がある。 sound text 植物学者 は、野山歩き回って 、植物という 植物を採集 し、根気よく 分類 する。 sound text 解剖学 は、人体内臓切り分け細かい 部分にまで分け入る sound text こうした科学的 行為 も、さかのぼって みると、幼児歩行 と手の運動に があるように思える sound text 人は、科学というと、 すぐ厳密な 論理法則思い浮かべる sound text それは確かに正しいが、本来は 物に対する子供の情熱 であることを忘れてはならない sound text しかも、それは、探究 と同様に 、きわめて根源的な 情熱 である。